文庫サイズ小説本を作った話

posted in: 同人活動 | 0

大変うれしいことに、昨今では1冊から本をつくれる印刷所さんが増えてきました。
そういったところで今回は文庫サイズ同人小説本を作った雑感になります。

オフラインイベントが難しい時期が続いていますが、逆にイベント関係なく本を作ってしまえという気分にもなれ、そして実行に移せたので水面下ではテンションの高い4月を過ごしておりました。

作った本の内容はファンアートなのでここでは掲載せず。一定期間Booth通販で対応しておりました。
ことファンアートに関しては各分野の好きな方が手に取れればOKな代物なので、狭くも熱くで進行しています。

【作ったものとカンタンな所感】

今回作った小説本は、4種。
何故そんなに一気にやってしまったのか。勢いとは恐ろしい。

本文は既に存在し、あとはテンプレートと表紙だ~といったところですが、
小説本制作が大変久しぶりだったので作業が前後するも多々。
今回で自分にとっての見やすいテンプレート構築ができたので、次作るときにはもっと快適になるはず!

・1冊あたり3万字~
・40字×16行
・だいたいp100前後
・本体背幅約7mm
・2,3冊重ねると市販文庫本くらいの厚さになる

【文庫サイズはテンションが上がる】

過去にA5サイズ、合同アンソロ系でのB5サイズ、ぞれぞれ2段組の小説原稿は作ったことがあります。
印刷された本の形で手に取ってもいる。
それとは別に、文庫サイズになると大変それっぽいのでとてもテンションが上がります。
あと大変読みやすい。ちょっと読み応えというか、印象も変わったようにさえ思える。
形になったものを手に取るのは楽しいので、作ってよかったという気持ちになりますね。

【違和感を覚えないようにする調整】

グラフィックデザイン、UIデザイン方面で特にそうですが、
自然に見れること、違和感に気づかないことがいいデザインであるの法則が小説本文のレイアウトでもあてはまります。
案外とこの、「気にならないようにする」レベルまで持っていくのが大変だったりもする。しますね。何事も。

行間、余白、小口とノドのスペースは土台として。
一字だけの改行(ここは小説を書いている本人であれば本文の文字を削って直しやすいところ)
もっと細かいところだと、フォントの幅の都合、デフォルトの余白設定だと左右のページが均一にならず、ぴったりにしたければ余白に細かい数値を入れる必要があったりします。
(が、今回はそこまでしていない)

使用するフォントによっては、PDF化した際に「――(ダッシュ)」「……(3点リーダー)」がずれることもありますので要確認。

好みの要素もありますので、見やすさを踏まえつつ、カスタマイズはそれぞれで。
私は章タイトルは上、ノンブル(ページ数)は下がいいですね。

【全体的な構成を組むのが楽しい】

両面カバーをかける想定だったため、カバー表、カバー裏、めくった本体でそれぞれ別のグラフィックを用意できるのでそこで遊ぶことができました。

本文の紙も選べたので、本編を踏まえたものを選択したり。
手触りで選ぶのも楽しいです。電灯下では光沢のない紙の方が気にならないかもしれない。

小説自体の内容としては、1冊はweb表示よりも本にしたときに構成がより「らしい」感じになるようにしています。
諸事情で目次を後半に持ってきたり、書き下ろし部分の目次や章扉フレームなども話そのものと連動した意味を持たせています。……こういうのは具体的に見せないとわからないところではありますが!!
本になった時により威力を上げていきたい。

【イラスト・デザイン方面でも気づくことはある】

実際作ってみて体感することも本づくり経験のよさであり、好きなところです。

【カバー】
かけた時少しずれることを想定した方がよい(特にシンメトリや中心が明確なデザインでは)
また、紙は厚すぎると捲りにくい。
今回はカバーの方で使いたい特殊紙があったので、PP加工はなし。
(一般的な書籍カバーはコート紙にPPがかかっている)
横スクロール動画や横長表紙のように、表1、表4、全体と個別に見てもそれぞれ絵として収まりがいいようにしたりも。

【ロゴ】
普段は既にあるタイトルからデザインすることが多いですが、今回は自分で書いた小説本。
つまりタイトルを決めるところも自分で。
ロゴにしやすいタイトルにする、という逆の目線もあったなと感じました。

今回は4冊作ったうち、1つが装飾イメージが思いつきやすかった。
他3冊分は元よりあまり装飾を強くしないシンプルな方向性です。
というのも表紙絵があるのでロゴ方面ではごっちゃりしないつもりで考えていました。

小説本を無事作り終えて。
結果、イベント関係なく次の創作本も作りたくなった……というところまでが大きなメリットでした。
2020年は本というまとまった形での制作はしていなかったのでやりたい気持ちがムクムクと。
ということで、次は創作の人型キャラクターをまとめたイラスト本を作ろうと組みはじめております。
6/6(日)にエアコミティアがありますので、その時期に合わせて。

創作同人誌一覧

posted in: 創作同人誌, 同人活動 | 0

イベントにて頒布した創作イラスト本の一覧です。
新しいものほど上に配置されています。

【通販】
pixiv Booth

アリスブックス


【Seasonarc】

”四季のイメージ・原風景。また次の年に出会いたいと願えること。”

創作四季風景イラスト本
仕様:B5/p24/800円
発行日:2021.06.06

【収録イラスト】
【通販 / Booth】


【Archetype】

連作3種と小説フレーバーテキストを含む、創作キャラクターイラスト本です。

仕様:A5/p26/850円
発行日:2021.06.06

【収録イラスト】
【通販 / Booth】


【Hourglass Fantasy  -Section-】

ファンタジー系ワンドロイラスト集vol.3

仕様:A5/p24/600円
発行日:2019.11.24

【収録イラスト】
【通販 / Booth】

【Musicscape】

――時代と場所が変わるとも、変わらないもの。『音楽のある風景』

音楽サークル「triplecassis」meelさんとのイラストレーションブック+イメージトラック集&楽曲素材集です。
ファンタジー風景のイラストブックと、そのイラストをイメージした小品楽曲の詰め合わせになります。
楽曲9曲(商用利用可)のDLカードが付属します。

仕様:フルカラーイラスト本+楽曲素材9曲DLカード B5正方形/p12/500円
楽曲作成:「triplecassis」meelさん(@meel_oathten
発行日:2019.03.02

【収録イラスト】
【楽曲視聴】
【通販 / Booth】

【Grimoire】

“――物語には魔物が棲まう。それが人のカタチをしていても、美しい姿で描写されていても。”
“なればこそ、血を含んだ大地の、黒き森のさざめくこのグリモワールは地獄であらねばならない。”

仕様:初版グリム童話モチーフ SS+イラスト本 A5/p20/600円
発行日:2018.11.25

【収録イラスト】
【制作設定】
【通販 / Booth】

【Utopiscape】

ファンタジー風景フルカラーイラスト本
色彩豊かで自然が多めの風景絵です。

仕様:B5/p20/700円
発行日:2018.05.05

【収録イラスト】
【通販 / Booth】

【Harmonics】

『――それでも、互いに触れずにはいられなかったのだ』
植物多めな人外×人間フルカラーイラスト集

仕様:B5/p24/700円
発行日:2017.05.06

【収録イラスト】
【制作設定】
【通販 / Booth】

【Hourglass Fantasy -Reminiscence-】

『追憶の足跡はもう帰らざる砂のように。
されど攫う風に振り返れば、そこに何を想起させただろうか』

ファンタジー系ワンドロイラスト集
「追憶」をテーマに背景多めな内容になっております。

仕様:A5/p24/600円
発行日:2016.10.23

【収録イラスト】
【通販 / Booth】

【Hourglass Fantasy -Black-】

『剣の聖堂の遥か先、銀河塔の物陰で、刻針が落ちるのを待ってる』
黒をテーマにしたファンタジー系ワンドロイラスト集

仕様:A5/p24/600円
発行日:2016.01.31

【収録イラスト】
【通販 / Booth】

【Vert Praline -緑の少女のあしあと-】

『あの約束の日からどれくらい経ったのか、もう忘れてしまったけれど。
どうか最後まで見届けていてね――』
緑が芽吹きはじめる世界をあるく少女たちの絵本風フルカラーイラストブック

仕様:CDレーベルサイズ/p12/400円
発行日:2016.01.31

ワンドロイラスト本『Hourglass Fantasy』制作設定

posted in: 制作設定, 同人活動 | 0

創作ワンドロイラスト本『Hourglass Fantasy』
テーマや設定、レイアウト関連などのこぼれ話になります。

【目次】
    1. レイアウト・デザイン関連
    2. 01_Black
    3. 02_Reminiscence
    4. 03_Section

◆レイアウト・デザイン関連

【タイトル】
「時間」を表題に含めたかった。一発勝負ゆえの刹那的な要素もあったので「時計/Clock」よりも「砂時計/Hourglass」を選択。
また同様の理由でページ数は24で固定です。

【webから印刷媒体へ】
ワンドロ絵はtwitter投稿で横構図かつB5以上の印刷を考慮しないサイズで描いていたので、縦長の本に収録する上で余白が多くなるのをどう収めたものかは考えた点ですね。

元々キャプションが文字数あったので、文字を入れるスペース込みで考えた結果、初期2冊は横構図を縦構図に直す……上下に延長して縦構図になる加筆をする形になりました。
……あまりこういう方法でゴリ押して収録するパターンはない気がする。

◆1.Black

ワンドロ本1冊目、テーマは「黒」

ダークファンタジー版の絵が多かったので暗い画面が多く、黒の中で浮かび上がるように黒背景です。
また、縦構図にする上で余白分の加筆調整はしてますが、1h縛りの枠組みかつ粗さも含めてライブ感ということでガッツリ手を入れることはしていないです。ひぇぇ。
絵としてのお気に入りは……強いて言えば表紙で、物語としてのお気に入りは桜と黒い獣です。

後に出した人外×人間イラスト本『Harmonics』で黒竜と融合した姫の話は追加があります。
この本はお気に入りの絵が多いので、私の中でも好きな1冊です。

◆2.Reminiscence

ワンドロ本2冊目、テーマは「追憶」

少し古びた質感の懐かしい風景。
自分比、生活風土を感じる絵が多かった1冊です。
絵としてのお気に入りは海中クラゲ、司書の機械鳥。物語としてのお気に入りは紅葉とピアノの亡霊です。
この本に限らず、多彩な色になるように編集をしてますね。

◆3.Section

3冊目で今回の新刊。テーマは「節/ 区間」

絵を単独でいっぱいに見せるより、デザイン・レイアウト色が強くなっています。
ポートフォリオ的なレイアウトをすると、どシンプルになってしまう感性なのでキレイに見せつつもぐっと派手に見せたい……という心がけが入ってます。

【レイアウト】
3冊目でレイアウトが大幅に変わった理由は2点。
同系色の絵が複数枚あって、同じエリア内の違う場所をイメージしているのと、
(ゲーム内MAPや同エリアで別ステージの導入とかのイメージもある)
ワンドロ縛りの本なのであまり大きく見せるより枚数収録しようという方針からです。
1,2冊目の時よりも期間が空いて描き溜めた絵が多かったのもあります。

【テキスト】
自分比短めでわかりやすい内容にしつつも、スムーズに読むには文面も意味もちょっとひっかかる感じの文章にしています。
例えば、春パートは温暖さに反して死者の川のうすら寒さも含まれていたりと、ストレートな摂理の情景ではないためです。描いてる人が小難しい感じのが好きなのも大いにあります。

【月に偽物の植物がある】
過去の遺物が残る月にまつわるとある世界観設定があり、『緑の少女のあしあと』でも同様の流れが根底にあったりします。
ですがふんわり絵本タッチに反して、その過去世界がアンデッドもりもり登場人物が死ぬ系ダークファンタジーなのは片鱗も見せてないです。見せなくていいぞ。