ハロウィンイラスト2020

【ハロウィンの夜に行きたい】
2020.10.20

星が落ちる、影が伸びる。
掴んで、形を得て、あの夜へ。

影のままなら、子供たちに形をもらおう。名前をもらおう。
灯火になれたなら、手持ちのランタンに入れてもらおう。

そうしてはじめてぼくらは悪魔になれるんだ。

本年のハロウィン絵、テーマのひとつはテーマパーク性。
超有名どころだと千葉にある東京だとして、それでなくとも実際に行ったことがなくともちょっと探検して楽しかった遊園地のような記憶ってあると思う。目が覚めれば忘れてゆく夢のようなものとして、おぼろげであっても。

そういう場所には多くの願いと楽しかった気持ちと、ほんの少しの怖さと羨望が入り混じりながら光と影が蓄積していく。
光は星となり、影は城となる。
本当なら影は光から逃げていくように伸びるものだけど、ここには光を遮る「対象物」がない。だから摂理から狂いながら欲するままに星降る天へと影の指先が伸びてゆくばかりだ。あの夜が来るまで、ずっと。

この頃はまだ明確な「誰か」という形は得られない。ヒトと対話できる姿にはなれない。
光と影は二元論的になにかとセットにされがちで、確かに切り離せないものではあるのだが、その間には対象物が必要だ。影が形になるために必要なオブジェクト。想像。
でなければ、ただ暗いだけの夜に聞こえた風音から魔物なんて生まれなかった。

ハロウィンは万聖節前夜。最も明るくなる前の、暗い夜。
ヒトは多くの事柄を未知のまま怖くならないように定義づけたけど、そのおかげで形のなき光と影たちの行き場がある。
この夜なら明確な形を得られる。幽霊、魔女、吸血鬼、狼男、黒猫……多種多様に、それでも一定の型をもって。
ヒトと同等の大きさの魔物に扮するのは元々ヒト由来の光と影だったからであって、菓子でも悪戯でもどんな形であれもう一度接してみたかったからかもしれないね。

ともあれ、祭というもの自体が収穫、ひいては生命を祝福して盛り上げるものでもあることなのだ。
生きたヒトビトの願いや恐れを飲み込んだ地よ、この一夜を楽しもう。
1年通して溜め込んだ光と影が解き放たれるには、この日こそが何より相応しい。

去年のハロウィン絵はこちら。自然崇拝の祝祭がテーマでした。

ハロウィンイラスト2019